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アドバンスト・ファイティング・ファンタジー

シナリオの記録

――彼らが恐怖の霧に満ちたファングの街を救ってから二十年の月日が流れた。(かつての冒険)
もはや彼らを覚えているものも少ない。
彼らはそれぞれの道で日々を暮らしていた。

2020/12/20

第九話 「英雄たちの棚卸」(前編)

GM(RJ)
ミスル・リファード (エルフの魔法戦士)
ノジェ (物言わぬ傭兵の戦士)


相変わらずファングの街に暮らしているシチュー亭一行ですが、 グレンデル、ルックストンは引退。ラナは一児の母となり、変化もあります。
そんな一行に、ある日、女神リーブラの神官と名乗るリサミナという妙齢の女性が訪れます。
女神の啓示によると、
天上の暗き神々が、タイタン中の英雄たちの必要性を確認するため、名のある英雄たちに、彼らの宿敵を復活あるいは捏造してぶつけることを決めたとく ものです。『英雄たちの棚卸』と呼ばれるそれは、もちろんシチュー亭一行も例外ではありません。
「恐怖卿」を退治して名を挙げた彼らには「卑劣卿」という魔界のエージェントが差し向けられたのでした。

「卑劣卿」退治を引き受けたシチュー亭一行。
過去の記録(神々に創造されたので過去もその瞬間作られます)によると、卑劣卿は基本的に不死で封印するしかないとのこと。
かのスペンサースパインドの孫、サスペンダースパインドの庵に押しかけ、適切な封印場所を調べてもらうと、
なんと封印された神殿ことアーナイカナンの迷宮の謎の魔法陣が強力な封印魔法を使えるようです。

しかし卑劣卿の手も伸びています。
ぼろをまとった老人を助け起こした一行は、卿の手下、デスメッセンジャーのゲームに巻き込まれます。
行く先々に仕掛けられたD・E・A・T・Hの文字が完成してしまうと、なすすべもなく敗北するのです。

封印魔法を発動させる触媒をさがしつつ、メッセージを見つけてしまう一行。
後輩冒険者スピットファイヤから魔剣さや走りを借り、封印石「奈落直行の石」も完成させます。

いよいよ、神殿で卑劣卿を待ち受ける一行。
封印を発動させますが、なんと卑劣卿はラナの息子を取り出し人質にしてきました。
ノジェとミスルのコンビネーションで、なんとかラナの息子(ラナン)を取り返します。

だが、それこそが卑劣な罠で、ラナンの背中には彼らが見つけなかったメッセージ文字が縫い付けられていました。
メッセージは完成し、シチュー亭一行は抵抗の余地なく、巨大な青い水晶に閉じ込められてしまいます。
薄れゆく意識の中で、
卑劣卿が4人に分裂し、その笑い声がミスル・ノジェ・フェルデン・ラナにそっくりだなということを知るのでした。

GMのおもわく
グレンデルくんの参加を待っていたが、どうも無理そうなので、やることにした。

もともとは、AFF2eに慣れるために、前半は新規作成キャラクターでシチュー亭一行を助けに行き、 後半シチュー亭メンバーで大暴れするというシナリオだった。
しかし気が付けば、オンラインセッションを余儀なくされるご時世。
したがって、短めを心掛けないといけない。

ちなみに新規キャラでシチュー亭を助けに行くというシナリオだけはやったのだが、 もはやみんな覚えてないだろうから、それなしで整合性をとる。

どうやら参加が二名になりそうなのでモチベーションが低下するが考え直し、 もともとナレーションベースで済ませるつもりだった、卑劣卿に敗れるまでを膨らませてみた。
過去のシナリオをチェックして、第一話の封印の洞窟を使いまわしてみようか。
モンスター事典の「死の使者」を使うと面白くなりそうだ。


結果
自動的に負けるというシナリオなので、気を使ったつもりだが、参加二名はわりと ポカーンな状態だった。
「敵に一矢報いている感がない」という指摘があったが、そこはしまったそのとおり。
PCがイベント的に負けるにしても、敵は地団駄を踏んでくやしがらないといけなかった。
すまんすまん。


2021/4/11

第九話 「英雄たちの棚卸」

GM(RJ)
ラナ (盗賊系の女冒険家)
フェルデン・バールベック (弓射るまじない師)
ミスル・リファード (エルフの魔法戦士)
ノジェ (物言わぬ傭兵の戦士)
グレンデル(欠席) (ドワーフで大地の女神の司祭)


気が付けば洞窟の中で水晶に腰かけていたひとすくい一行。
助け出したのはリサミナ。混濁する記憶を整理すべく、彼女はこれまでのあらましを語るのでした。
敗北から三週間。分裂した卑劣卿は各メンバーとして非道を重ねています。 魅了の術で近しいものには偽物こそがひとすくいのシチュー亭の英雄と認識されているのです。 彼ら英雄に幻滅し、夢見て立ち上がるものがいなくなれば、卑劣卿の完全なる勝利となります。

しかし、リサミナは「いえ、違うんですロガーン様」とか言いながら突如退場。
ファングの街に戻ると、さわやかな好青年が彼らを呼び止めるます。ライオットと名のる彼はリサミナの知り合いと言い、ラナンを預かることを申し出ます。 流石に信じ切れず断るラナですが、ライオットは気にした風もなく、何か用があれば黒いキノコ亭にいると去ります。

ひとすくいのシチュー亭では、ラナのいとこコナが迎えますが、彼らを初見の冒険者としか見てくれません。
ラナの部屋を物色すると、体力回復剤と怪物事典モックがあり回収します「久しぶりじゃな」。そこに現れた偽ラナ、ギザギザ歯の女盗賊。 本物とは似ても似つかぬ容姿です。逃げる偽ラナをフェルデンは容赦なく射かけ、ノジェが伸びる剣で突き刺します。
しかし、テロ活動を行っていた偽ラナは最後に自爆します。

流石に物騒なので、ラナンをライオットに預け、 コナに訊いた偽ミスルの居場所に向かいます。
そこにいたのは、人斬りの偽ミスルでした。ミスルを指導者と尋ねるエルフたちを混沌戦士に変え襲い掛かってきます。
しかし、同じ混沌でも、混沌の遊び人の方に分があったようで、本物のミスルはエルフたちを救うことができました。

偽ノジェの庁舎に向かう一行。
彼だけは悪い評判を聴かないのですが、その実、衛兵たちの、規律を緩めじわじわと治安を悪化させていたのです。
突如、六人の完全武装の衛兵に剣を向けられた一行は、活路を見いだせず退却します。

それならばと、与しやすい偽フェルデンを探しますが、 後輩冒険者プラムの情報によると、彼は一行の人相書きを配って合わないようにしているとのこと。
確かにこちらを見ているチンピラがいます。ラナが音もたてずに忍び寄り、偽フェルデンのもとに案内させます。
しかし、偽フェルデンは特別製で、自らの資産を生命力にすることができる化け物でした。
プラムの情報で、資金源が三ルートあることを知ったかれらは、
──貴族夫人を、偽フェルデンを上回る奸計でだまし(本物フェルデン「屠っちゃえばいいんじゃない?」)、
──ワイン商会の卸先をシチュー亭にすることで、うまみをなくし、
──ポーション買い占めを、サスペンダー・スパインドに無理させることで供給を正常化させます。
かくして、資金を削られた偽フェルデンは消滅します。

ほとんどの偽物が撃退され、卑劣卿は弱体化した姿を現します。
さあ、最後の戦いです。衝撃を放ち、恐怖の霧を見せてきますが、もはやシチュー亭の敵ではありません。
追い詰められた卑劣卿は、異空間から得意の人質をつかみ出しますが、ラナンはライオットの剛剣に跳ね返され、 やっとつかみ出した人質は、なんと引退したグレンデルでした。
頑丈なドワーフなど人質になりません。
一斉攻撃を受け、卑劣卿は今度こそ消滅しました。
「元気そうじゃな、嬢ちゃん」「グレンデルもね」
グレンデルは消え、元の場所に戻っていきました。

シチュー亭に戻り、リサミナやライオットの祝福を受けます。
「暗黒の神々の直接の手駒を撃退するとはたいしたものだ。だが、神々が刺客を放ったのは君たちだけではないぞ」
その声が終わらぬうちに、シチュー亭の壁に穴が開き、 後輩冒険者ブルベリー、プラム、グレイプが吹っ飛ばされて来ました。
「あ、先輩〜〜。助けて下さい〜こいつ強すぎます〜」「ウワハハハー貴様ら死ぬのだああ、この絶滅卿の手によってええ」
さてさて、まだまだ引退するに早いかもしれません。



コナ「...ラナ、なんかすごい大量のワインが届いているんだけど...まさか」
(完)

GMのおもわく
元々、彼らの偽物を退治しつつ、この街に彼らが根付いている、生活している感を感じてもらいたかったのだが、 そこらへんの描写が足りていたかはわからない。

リサミナは「トロール牙峠戦争」に出てくるリッサミナと同一人物。
翻訳が出たのは最近だけど、実は最後の章だけ翻訳していたので知っていた。
小説では魔法使いだけど、今回は神官。
ライオットは、ラナが神の眷属?と見抜いていたけど、勇気の神テラクその人。
リサミナの面倒を押し付けられるイメージにしてしまった。

高レベルの英雄のミッションなのだから、神がかりのものになるのもありでしょう。
暗き神々だけでなく、すべての神々が参加しているキャンペーンゲーム。
リサミナはそんな中でもなんとか、正しき側に勝ってもらいたい。
それが彼女の正義なのか、それともゲームに勝ちたいからかはわからない
...という設定。

結果
このパーティ、魔法使いがメインアタッカーなので、呪文を駆使しない・できないんだよね〜。
戦闘が単調になるきらいがあるので、どの敵も体力点は低め。

偽ノジェは攻略に困ったようだが、ここで投獄、脱出の流れもだれそうなので、そのままラスボスに吸収されてもらった。

しかし、本物のフェルデンは流石だわ。
「──そういえば、体力回復剤3つという話だけど、これは全員で3つなのか、それとも一人3つずつなのか?」
なぜ後者の可能性があると思った(笑)


ではまた十年後。


written by RJ
last update:2021/04/13